鴻巣市元市町

発見日:2021年6月20日

発見場所:鴻巣市富士見町付近

前回も元市町を紹介したが、今回見つけたのは電力プレートではなくフル住所表記の表札である。そして発見場所は古い町並みが残る中山道沿いの区域ではなく、なんと線路の反対側に位置する住宅街である富士見町である。

大字鴻巣だった区域はそのほとんどがJR高崎線の線路の東側に位置しているが、今回の旧地名を発見した富士見町と、北方にある加美三丁目の区域だけは線路の西側にある。大字鴻巣(およびその前身の鴻巣宿)は鉄道が通る前から存在していたので、のちに区域が線路で分断されたとしてもおかしくはない。

また、通称町名である元市町も明治時代から存在していたようなので、やはり線路で分断されてもおかしくはない。しかし、それが住居表示が実施される1960年代までは残っていたということになる。もしかしたら現在も元市町町内会の区域は線路の東西にまたがっているのかもしれないが、確証はない。

なお、住居表示や町名変更がなされたあとも、一つの町(丁目)が線路をまたいで位置しているケースはときどきある。たとえばさいたま市浦和区常盤三丁目は区域の一部が線路の東側に少しだけはみ出している。はみだしている区域が狭い場合は、別の町名を付けるわけにもいかず、かといって他の町に組み入れられるのは町内会のつながりや地域の歴史もあって抵抗があるということだろう。地名や町の境界というのは行政の都合で勝手に決められているイメージがあるが、案外デリケートなところもあるのだ。