草加市北谷町字東

発見日:2020年3月15日
発見場所:草加市北谷三丁目付近

草加駅から北西に少し離れたところに、かつて川口市から編入された区域がある。1957年(昭和32年)に大字安行花栗、大字安行苗塚の全域と、大字安行小山、大字安行北谷、大字安行原の一部が草加町に編入し、翌年の市制施行に伴って、花栗町、苗塚町、小山町北谷町、原町となった。

結構な広さの区域が移ったことになるが、どういう理由だろうか。実は上記の区域はすべて、前年に安行村から川口市編入された区域である。事情はここに詳しく書かれているが、当時の安行村ではいくつもの合併案が乱立していた。住民投票では草加町との合併案が最多票を獲得したが、安行村役場がその結果を無視して川口市への編入と東部地域の草加町への境界変更をする考えを示したため、対立は泥沼化し、最終的に町村合併調整委員の調停により決着がつけられたそうである。安行村は台地上では植木生産が盛んであったが、東部は低地で宅地化が進んでいたため、草加町への編入を強く望む住民が多かったと思われる。

さて、上記の5町も元の小字を引き継いでいる。その後、住居表示実施により、1987年(昭和62年)に花栗、1988年(昭和63年)に北谷・小山・(新)原町が成立したが、苗塚町と北谷町の一部は現存している。花栗町、北谷町の一部は草加、松原、学園町にもなっている。

今回見つけた字東であるが、上述の境界変更で字西、字北谷とともに全域が草加町に編入されている。川口市に残ったのは字市場、字小山下で、現在も大字安行北谷の小字として現存している。