戸田市大字惣右衛門


発見日:‎2016‎年10‎月‎3‎日
発見場所:戸田市笹目一丁目付近

かなり見づらくて申し訳ない。しかしこんな状態でも残っていたことに感謝すべきかもしれない。

大字惣右衛門はかつて戸田市に存在した大字である。JR京浜東北線蕨駅の改札を出たところにある案内板には、惣右衛門(案内板の表記は惣右ェ門)の名前がある。JR埼京線が開通した今、蕨駅は最寄り駅ではなくなったので、それ以前に作られた案内板だろうか。

その大字惣右衛門だが、1970年代後半以降に住居表示実施や町名地番変更により笹目南町、笹目などとなり、現在は消滅している。地名が変更されたのはそれほど昔ではないのだが、いざ旧地名を探そうとすると全然見つからない。古い地名が消滅する一つの要因として、田舎くさい名前の忌避というのがある。惣右衛門はまさにそのケースで、積極的に旧地名を残そうとする者はいなかったのであろう。

ちなみに惣右衛門のように人の名前が地名になるのは、ほとんどが新田開発に由来している。かつては清兵衛新田だの八右衛門新田だのといった地名がいたるところにあった。しかしその多くは現在は消滅している。惣右衛門もかつては惣右衛門新田だったのが惣右衛門村となり、1889年(明治22年)に下笹目村と合併し、笹目村大字惣右衛門となった。