和光市松ノ木島町


発見日:‎2016‎年‎9‎月‎29‎日
発見場所:和光市新倉七丁目付近

かつて、といってもそれほど古くない昔に、和光市には松ノ木島町という町があった。しかしこの町に関する情報はあまり残されていない。

和光市のホームページにある和光市住居表示整備審議会第4回第5回議事録に松ノ木島町の話題が出てくる。町名の変更がどのようなプロセスで行われるのかが垣間見られて面白い。

その議事録の中で、当時の松ノ木島町の町名を決定した経緯は、当時の主な関係者が既に他界しており、また市の記録も廃棄されていてよくわからないなどと書かれている。結局、平成元年あたりに町名が決定されたようなのだが、つい10〜20年前の記録がないなどということがあるだろうか。

さてその松ノ木島町であるが、大字新倉の一部を区画整理して作られた町で、一部は工業団地となっている。あまり民家はないのだが、会社の看板に旧町名が残っていた。しかしなぜか「新倉松ノ木島」となっている。正式名称とは新倉が余分なのと町がないのとで二重に異なっている。ここは昔大字新倉だったので、もしや大字新倉字松ノ木島なのかとも思ったが、7桁の郵便番号が書かれていることから、松ノ木島町成立後の看板であることがわかる。

なお松ノ木島町の名称は、ここによると、大字新倉の字松ノ木と字島から取られたらしい。(角川日本地名大辞典の小字一覧には「松ノ木」と「島向」が載っている。)欲張って二つも取るから読みづらい名前になって、その結果、町が略されてしまったのでないかと思う。

ちなみに今回、駐車場の看板にも旧町名を発見したのだが、これも「松ノ木島」と書かれており町が略されている。結局まともに書かれた旧町名は一つも発見することができなかった。ろくに記録が残ってないことといい、不遇な町名だったといえる。