春日部市上町


発見日:‎2018年8月11日
発見場所:春日部市粕壁一丁目付近

東武野田線東武伊勢崎線が通る春日部駅の東口側のエリアは、江戸時代は日光街道の宿場町となっており、粕壁宿と呼ばれていた。幕末頃には粕壁宿は内出、陣屋、寺町、上宿、中宿、裏町、新宿、三枚橋、大砂、新々田の10の町で構成されていた。これらの町は粕壁宿の小字にもなっていた。

ところがその後、これらの小字は整理統合されてしまう。昭和11年粕壁町略図では、日光街道沿いの区域が字町並、街道の裏が字町裏となっている。岩槻町の例といい、なんたる暴挙!

しかし小字は統合されてしまったが、上記の名称は通称町名として使われ続けた。その後一部名称・編成が変わり、戦後には内出、陣屋、旭町、春日町、上町、仲町、富士見町、本町、元町、三枚橋、大砂、一宮町、東町となった。現在もこれらの町名を冠した町内会が存在している。

さて、今回発見した旧町名であるが、「春日部市粕壁上町」と書かれている。これは大字粕壁字上町ということだろうか。粕壁町は粕壁宿が単独で町制施行したので、大字は設置されなかったが、1944年(昭和19年)に内牧村と合併して春日部町となった際に、旧粕壁町域は春日部町大字粕壁となった。しかし、上町は小字ではなく通称町名なので、大字粕壁字上町は存在しない。

通称町名は住所表記に用いられるときは、本来の大字の地番が付けられることが多い。したがって、通称町名が小字のように扱われるのは自然ともいえる。