新座町大字野火止字上北側


発見日:‎2017年9月12日
発見場所:新座市野火止六丁目付近

これまで紹介した大字野火止の小字は、菅沢中清戸門前とすべて隣接する村から拝借した名前のものばかりであった。しかし今回は野火止村の中心部に近い場所であり、独自の名前が付けられている。

上北側というのは北側をさらに上下に分けたものだろう。ちなみに下北側、南側、上南側、下東側などもあるようだ。上北側・下北側と南側は川越街道を挟んで北と南に分かれており、おそらくは道の北側・南側という意味であろう。また、これらとは別に東と西もある。よそから拝借した名前以外は方角ばかりとは何ともてきとうな命名である(陣屋、並木などのまともな小字も一応ある)。

ところで今回が紹介できる最後のチャンスかもしれないのでここで書いておくが、昭和42年発行の地理院地図には、志木駅の南側に「志木」と書かれている。この志木は現在の志木市を指すものではない。なぜなら、この場所は現新座市の市域だからである。

これをずっと謎に思っていたのだが、あるときはっと気が付いた。そう、この志木は大字野火止の小字なのである。そして、これまでの例と同様、野火止村の中で志木宿に近いエリアを字志木と名付けたものなのだ。なんとも紛らわしい!

大字野火止字志木が実際に存在した証拠として、地価公示の記録がある。現在は東北二丁目となっており、駅のすぐ南であることがわかる。この辺りは新座市屈指の繁華街なので、小字の現物を見つけることはまず無理だろうと思われる。